メッセージ

同族会社(ファミリービジネス)の現状

多くの同族会社の経営陣、従業員、家族、それぞれの間のコミュニケーションに不全があり、結果、組織に不調和があります。
一人一人は会社に対し、仕事に対し、従業員に対し、そして家族に対し、それぞれ想いと考えをもっているのに、なぜかうまくいかない。
表面的な会話は成立していても、心底から湧き上がってくるようなエネルギーを感じられない。一応の意見の一致はみるけれど面白味はない。でも業務上のやりとりだけは粛々と進んでいっている。自ずと、関わる人たちの意識は、過去の失敗や人間関係にばかり向けられ、目の前の問題へ対応で手が一杯となり、新しい価値と未来の創造には手がつけられずじまいになってしまう。
そんな循環にある環境では、人と人の間の心は断絶してしまっています。
そして、そのことに心のメモリーを使ってしまい、結果、それは業務において、そして会社全体にとって大きな損失となってしまいます。
「心からの語らいの断絶」は会社の大きな損失。そんな状態ではビジネス上でも勝負にいけません。
そこには私の言う「団欒」がありません。

三つの観点(スリーサークル)を支える「団欒」

一般企業では経営(ビジネス)の観点を機能させれば、企業活動は円滑に運営されますが、同族会社においては、それに加えて所有(オーナー)の観点、家族(ファミリー)の観点も考慮して、企業活動を進める必要があります。
具体的な例を挙げれば、株式の承継、家族の中から、または親族外の従業員から後継者を選び、育成すること。そして後継者とならなかった関係者への配慮も必要となります。
(加えて近年ではM&Aによる事業承継という選択も増加しています。)
そんな多面的でデリケートな側面をもった同族会社を経営していくには、関わる人と人の間に、深いコミュニケーションと信頼関係が必要とされると思います。
それらの観点を基盤として支えるのが、私の言う「団欒」です。

団欒がもつ力

団欒は、単なる和気あいあいとした場ではありません。
ときには誰も触れたくない、本質的に痛い話をも取り扱う、話題に出せる。極めて本質的で、家族だからこそ避けて通りたくなる内容の会話でも、安心して扱う。
また、正しい、正しくないに関わらず、遠慮なく建設的なアイデアや、率直な想いも口にできる。対立を避けるのではなく、むしろそれを新しい価値を創造するエネルギーに転換していく。
そのようなより深く、高い次元の関係性と場のことを「団欒」と考えます。
最初は「家族だから」と気を遣っているうちに、率直で深いコミュニケーションが取れなくなったり、逆に家族だからという理由で過剰に強い表現をしたために、信頼関係を失ってしまう。そして親族外の幹部、従業員さん達は、それを敏感に察知し、業務でも余分な気遣いをし、言うべきことも口にせず時間だけが過ぎてしまう。同族会社にはそんな「脆さ」や「甘え」が存在します。
だからこそ、普段から会社、家族に「団欒」が必要とされるのです。
逆に言えば、「団欒」が基盤としてあれば、同族会社だからこその強みも発揮され、永く繫栄する会社もできると思うのです。

ビジョン「世界のファミリー企業に団欒を」

私は、同族会社を営む家族の一員として、経営者として、またコンサルタントとして、
3つの立場から同族会社の経営に関わってきました。
そこで感じたことは、家族とオーナーとビジネス、その3つが同居する経営現場には高度な相互理解と信頼関係、そしてそれを持続していくためのルールと、それを順守する規律を要するということです。またそれを持続的に保つには「第三者」からの冷静かつ客観的な視点も必要だということも。

少し話は飛躍しますが、視座を広くとれば、世界では民族間、地域間で多くの紛争があり、そこには心の断絶と、それによって多くの傷ついた人々が存在します。
そして、これは私には届かない夢かもしれませんが、人間にとって普遍的な「団欒」というものの力で、そんな地域や世界に調和をもたらしたい、という願いがあります。

平和で幸せな関係に溢れる世界になって欲しい。

そんな想いも込めたビジョンが「世界のファミリー企業に団欒を」となります。